業務用ドローン

ドローンによる農薬散布の未来とは?自立飛行で変わる農業

ドローンと聞くと空撮や個人での利用をイメージされる方が多いかと思いますが、ドローン業界では農業での活用にかなり力を入れています。
その市場規模は数百億とも言われており、ドローン×農業の産業用として、農薬散布を始めとしたドローンの空撮による育成状況の分析、害虫の発見など、これまで人力で行われてきたことが機体単体での自立飛行により、自動化されつつあります。
DJIを始め各社の動きと実績をご紹介したいと思います。

ドローンでの農薬散布とは?

DJIを始めとするドローンメーカーによる農業向けの産業用ドローンの開発が活発に進んでいます。
実際には水稲や麦、大豆にさとうきびなどの品目で除草剤等農薬散布の運用実績を積み重ねています。
各社共に、農薬散布を可能とする噴霧を可能とするノズルと農薬である液体を格納するタンクを搭載しながら飛行を可能とする機体の開発とそれを農薬散布を効率的に行うためのクラウドサービス(基本的にはフライトデータと農薬散布を行った飛行エリアの記録、散布の飛行プランの策定)のシステム開発を行っています。

自動航行による農薬散布に関する規制

農家にとっては農薬は一般的に使用しているものですが、もしもドローンが墜落や故障によって意図しない形で農薬が散布されてしまう事態になれば大変な事故になることを考えると規制の内容や運用に慎重になります。
ドローンによる農薬散布は液剤を散布するのは、航空法の定める「物品投下」と「危険物輸送」に当てはまるため、事前に国土交通大臣の許可・承認を受ける義務があります。そして、そもそも農薬散布を行うためのドローンには国から農薬散布機として認可を受ける必要もあります。

ですので、実際に農薬散布としてドローンを運用するためには、下記3つの要件を守る必要があります。
・国から農薬散布機の認定を受けたドローンで、国土交通省の許可・承認の申請手続きを行う
・農林水産省が定めるガイドライン(空中散布等における無人航空機利用技術指導指針)に沿った計画書を各地区協議会を通じて提出を行う
・操縦は農林水産航空協会指定の教習所で研修を受けた認定オペレーターによる操縦で行う

農林水産省が農薬散布機と認定しているドローン

・エンルート、Zion(AC940、AC940-D)、ZIN500A(液剤用)・ZIN700P(粒剤用)
・丸山製作所、MMC940AC(スカイマスター)、S-1510MC(液剤用)
・ヨコヤマ・コーポレーション、DAX04、TD-P-01(液剤用)
・DJI、AGRAS MG-1(液剤用)
・東光鉄工、AC940T(エンルートOEM)、TSV-AQ1、TSV-AH1

農林水産省で認められている作物

・水稲
・麦類
・大豆
・えだまめ
・大根
・れんこん
・玉ねぎ
・くり
・みかん
・さとうきび
・キャベツ
・生姜
・小豆
・アスパラガス
・山芋
・とうもろこし
・カボチャ
・人参

農林水産省で認められている実施目的

・病害虫防除
・除草
・植物成長調整
・は種
・施肥

気になる農薬散布ドローンの価格

東光鉄工社が開発している機体の本体価格はTSV-AH1が100万円、TSV-AQ1が150万円。
エンルート社のZion AC940の機体価格は100万円前後。
DJI社が開発しているMG-1の機体の価格は180万円で中国、各国で先行販売されています。

農薬散布ドローンの価格は100万〜200万前後がボリュームゾーンのようです。
実際の運用には作業者として、研修を受けて免許をもったオペレーター等人件費がかかるため、農業従事者がドローンを購入してすぐに運用出来るわけではないので、注意が必要です。

農薬散布ドローンのオススメ製品3種

1ヘクタールを10分で農薬を散布する驚きのドローン「AGRAS MG-1」

DJI社が開発したAGRAS(アグラス)MG-1は10kgの液体を搭載することができ、1回の飛行(約10分)で1ヘクタールの散布を行います。

このAGRAS MG-1は3つのマイクロ波レーダーが地形を認識することにより、機体の高度を維持しつつ、作物から一定の距離を保ちながらの散布を可能としています。DJIが提供している自律散布システムやDJI 農薬散布管理プラットフォームを利用して作業を事前に計画し自立飛行による自動散布を可能としています。また、リアルタイムでの飛行管理など、機体ステータスや散布状況を逐一監視することができます。


引用:https://www.dji.com/jp/mg-1s

AGRAS MG-1の公式ページはこちら

専用のRTKアンテナを利用した精密な農薬散布「P20 2017」

XAIRCRAFT社が開発したP20 2017はなんと1台の端末で最大8台までを制御することが可能な農薬散布ドローンです。
このドローンは「RTKハンドヘルドマッパー」と呼ばれるドローンの飛行範囲を制限する物理的な三脚の様なものを設置することにより、安定した高精度の自動散布を実現します。
また、「ウェザーステーション」と呼ばれる、これまた三脚の様なものは太陽光発電で自立し、天気や湿度、風向きなどを分析して、理想的な農薬散布を約束しています。


引用:http://xaircraft.jp/event/20170124-02.html

P20 2017の公式サイトはこちら

世界初!120分以上の飛行時間を誇る純日本製ドローン

群馬県を本拠地とするエス・エス・ドローン社が開発した16Lもの農薬を搭載するハイブリット式ドローン「ENGINE HTBRID」と電動式ドローン「BATTERY POWERED」。
ハイブリット式はその名の通りエンジンとモーターを搭載し、長距離かつ大規模散布を想定機体で、ガソリンを8リットル入れた場合は2時間の飛行が可能になります。電動式は電動モーターのみで10分から14分を飛行する1ヘクタール未満での使用が想定される。


引用:http://ssdrone.jp/drone.html

作物育成解析ドローン

適切な生育管理をドローンの空撮と独自の葉色解析サービスで実現する「いろは」

株式会社スカイマティクスが提供するのは全天候型の葉色解析を実現する「いろは」。
「いろは」は解析サービスのサービス名であり、実際は同社が提供するドローン「X-F1」が撮影したデータをこの解析サービスに通して分析するシステムです。

X-F1は、最大で10Lの液体を搭載することが出来る農薬散布ドローンでもありますが、付帯サービスである農薬散布サービス「はかせ」と葉色解析サービス「いろは」を組み合わせて自立飛行のドローンによる農薬散布とそれが撮影した画像データの分析による農業支援ドローンです。


引用:http://skymatix.co.jp/solution/service_hakase.html

-業務用ドローン

© 2024 Drone Space